Night in Athens

試合翌日の24日、昼過ぎから市内観光に出掛けたが、市内中心部の地下鉄の駅を出ると雨が降ってきたので、適当に見つけたカフェ&レストランで軽食を食べ、地元のスピリッツ系のお酒Ouzoを飲みながら雨宿りをした。このお酒、柑橘系ではあるがアルコール度はかなり高め。最初は無色透明だったが、氷を入れると白濁してきた。
雨はなかなか止まず、午後4時ぐらいになってやっと小雨になったので、そこからおもむろに観光を始めた。まずは何をさておき、アクロポリスにあるパルテノン神殿を目指す。紀元前に存在した建物とはとても信じられない。このパルテノン神殿の足元には博物館があるが、出足が遅くなった分ゆっくりと見る時間が無いと思い、博物館に入ることは断念して次に古代アゴラへ。パルテノン神殿にしても古代アグラにしても、世界史の基礎知識が不足しているので、今この場所にいる、ということの感激度がかなり薄くなっているのは否定できない。それでもやはり現地にいると数千年の時間を越える息遣いの一端に触れることが出来た気がした。
古代アグラの中で、入場料金を支払って中に滞在できる時間を過ぎてしまったので、門をすぐ出たところにあるカフェでビールを飲みながら休憩。朝の予定ではもう少し観光しようかと思ったけど、朝の天気が悪かったので予定は変更。その後土産物屋さんや食堂の建ち並ぶPlaka地区を散策しながら夕食を食べられるお店を探す。ギリシャ語に限らないが、庶民的なレストランのことを「タベルナ」というのが、冗談のような本当の話。そのタベルナで、イカ料理を食べた。食事の後、飲むところを探していたらLiverpoolのシャツを着ているウェイトレスさんがいる店があったので、その店に入り、再び飲み続ける。
その後、もう少し飲み足りなく感じたので別のお店を探しに歩いた。既に日付が変わっていたので、もう開いている店も少なかったが、そのまま歩き続けるとそこで信じられない光景を目にした。この時既に試合翌日の深夜2時。前日の試合で負けたLiverpoolサポーターたちが、街のバーに押し寄せて、店の外で声を合わせて何度も何度も繰返し歌を歌っているのだった。2年前のイスタンブールでは、勝利の喜びのために試合翌日も歌っているのだと思っていたが、敗退した今回もやはり歌っている。試合結果はあまり関係なく、とにかく仲間が集まって陽気に過ごしているのだった。逆に勝ったチームのサポーターたちは、ちらほらと姿は見られるものの、優勝を祝って飲み歩く姿は全然見られなかった。この光景だけを見ると、どっちのチームが勝ったのだかわからない。彼らはこうやってチームとともにヨーロッパ中を旅し、楽しんでいるのだ。試合に負けてしまったのは残念だけど、他のサポーターたちと一緒になって歌を歌っていると、幸せな気分になってきた。Liverpoolはもちろん、ジュネーブノルウェーブリスベーンなど、世界中のいろいろなところから来ている彼らと話をしているうちに、気がついたらまた来年、今度はモスクワで会おう、という言葉で会話を締めくくるようになっていた。