雑誌AREA創刊号

今はもう買わなくなってしまったけど、朝日新聞社の週刊誌AERAを、創刊直後から2007年7月までは毎号買っていた。

この雑誌は1988年5月の創刊で、僕がちょうど大学に入った年だ。親元を離れて地方の大学に行ったときに、ワンルームのアパートで一人暮らしを始めたのだけど、この機会に世俗から離れようと、部屋にテレビは置かず、新聞も取らないことにした。ちょうどその頃、普通の週刊誌とは違いエッセーコラムも連載小説もない、ニュース中心の雑誌という触れ込みで、朝日新聞社AERAという雑誌を創刊した。家では一時期を除きずっと読売新聞だったため、朝日新聞社の雑誌ということや、連載小説もないのかということで、ちょっといぶかしげに思っていたのだが、買い物の途中でふと立ち読みした第5号か6号くらいのAERAを見て、確か「現代の肖像」の志村けんの記事だったかと思うけど、志村けんの意外な一面を知って面白そうと思い、テレビも新聞もいらないけど、それでもやはり多少は世の中のことが気になるので、このニュース雑誌を毎号買うことで新聞の代わりにしようと思った。

きっかけはドリフターズだったけど、触れ込みの通り国際問題を中心に硬派な記事が並び、誌面はすべて署名記事なので記者の個性も、責任もわかり、続けて読んでいると署名を見る前に記事を読むと、誰が書いたかもわかるようになった。

毎号買うようになると、今度はバックナンバーも欲しくなり、東京神田の書店街に行ったときに、雑誌のバックナンバーが置いてある店で買ったものの、創刊号だけはそのお店にも置いてなく、僕にとってはずっと幻の存在だった。

それ以来、大学を卒業して家に戻り、テレビも新聞もある生活に戻ったけど、新聞は読売、雑誌は朝日のAERAと、一方に偏ることなくバランスよく読んでいるつもりだった。でも以前書いたようにこの雑誌を買うのにも苦労するようになり、また肝心の記事も身近な話題が増えてスケール感がなくなってきたこともあって、ついに2007年4月で買うのをやめてしまった。

それまでに買ったAERAは、実は家にずっと保管してあって、最初の数年分は保存用のバインダーに入れてあったりもするけど、実際には読み返すこともない。さすがにそろそろ処分するかと思い始めて、お盆休みに、Yahooのオークションで売りに出したら売れるのかなと思って検索してみた。でも、値段も安いし、だいたい入札もない。これは売れないなと思った。ところがその中に「創刊号」が出品されているのが目に入ってしまった。値段は500円。期限が2日後だったけど、発作的に入札して、ほかに入札者もいなかったので、難なく落札してしまった。

そして届いたのがこれ。

表紙は前年にノーベル賞(医学生理学賞)を受賞した利根川進。まだ中は読んでいないけど、時代は竹下内閣、ソ連アフガニスタンから撤退し、もうすぐソウルオリンピックが開催する、という頃。印刷の具合も今から見ると古びてしまったけど、学生時代を思い出して懐かしい。唯一のフィクション記事だった「スーパー特派員亜江良十三」も懐かしい。

これでまた雑誌の山を処分する機会を逸してしまったけど、出すところに出せば、創刊から約20年分のAERAというのも結構な値段で買い取ってくれそうな気もするけど、やっぱりダメかな?あともう一つ、創刊準備号というのもあったような気がするが、こちらも幻の存在。

AERAがどんな雑誌かを紹介するのに検索したら、副編集長だった人の雑文を見つけたので紹介する。
http://7ten.boy.jp/aaa/zatsu20051211.html