「新次元 マンガ表現の現在」

水戸芸術館現代美術ギャラリーの展示を見る。
マンガそのものは特に興味のある分野ではないのだが、どんな分野にしろ何かを表現して作る行為やその背景などを見るのは好き。
この展示は2000年以降に話題になったマンガ9作品について、展示室ごとにそれぞれの世界を具体化するというものだった。

話題になったと言っても、僕が名前だけでも知っている作品と言えば、「BECK」と「のだめカンタービレ」の2つだけで、もちろんそれらのマンガをちゃんと見たこともない。「BECK」については最初は同名のアーティストのことかと思い、映画作品になってoasisの曲がテーマ曲と聞いて、「Beckの映画にoasis、なんだそれ?」と思ったくらい。それでもその「BECK」の映画に、毎朝欠かさず見ているNHK連続テレビ小説で漫画家の水木しげるを演じている向井理が出演しているというので、なんとなく関連がないわけではない気がしてきた。

マンガついでに、NHK連続テレビ小説は毎日見ていて、現在放送中の「ゲゲゲの女房」も好きだけど、だからと言って水木しげるのマンガが好きなわけでもない。でも面白く見られるのは、水木しげる自身ではなく、奥さんの自伝を元にしたドラマだからなのだろう。マンガが好きどころか旦那さんの作品を見て気味が悪いと思ったりするところは僕と同じだし、マンガのことはよく知らなくても一生懸命マンガを書いている旦那さんのことが好き、というところが、僕のようにマンガを知らなくても面白く見られるポイントなのだろうと思う。

その「BECK」の展示室は、ライブハウスをイメージした空間で、ステージにはドラムやギター、アンプなどが設置されている。10分ごとにステージは以後のスクリーンに演奏シーンのマンガのスライドがライトとともに上映されるが、音は出ない。あくまでも読者の頭の中で音楽が再生される、という読書体験を実物展示しているようで面白かった。

ただし、その次の「のだめカンタービレ」の部屋でグランドピアノの自動演奏が行われており、その音が「BECK」の部屋にも聞こえてくるのがちょっと残念だったか。

のだめカンタービレ」の世界は、クラシック音楽の世界らしく、デコラティブな内装に、豪華額縁泰西名画風のカラーイラストが飾られている。土日のイベントとして、ピアノの生演奏が行われていた。演奏した作品は、当然マンガに登場した曲ということらしい。19世紀風のコスプレをした演奏者の姿がコミカルだった。

最後の部屋は、マンガ喫茶風に約7000冊のマンガが置かれた空間となっている。展示を見終えた人たちが熱心にマンガを読みふけっていた。
ここに水木しげるの「ゲゲゲの鬼太郎」とか「悪魔くん」とかも置いてあったので試しに読んでみたが、やっぱりその面白さがよくわからなかった。

水戸芸術館の展示案内はこちら。
http://www.arttowermito.or.jp/art/modules/tinyd2/index.php?id=1
9月26日までの開催。


展示室ごとの作品は以下のとおり。
会場入り口でガイドマンガを手渡されるので、それを読めばそれぞれがどのような作品なのかが簡単にわかるようになっていた。

第1室 松本大洋 ナンバーファイブの世界
第2室 若木民喜 神のみぞ知るセカイの世界
第3室 五十嵐大介 海獣の子供の世界
第4室 安野モヨコ シュガシュガルーンの世界
第5室 ハロルド作石 BECKの世界
第6室 二ノ宮知子 のだめカンタービレの世界
第7室 浅野いにお ソラニンの世界
第8室 今日マチ子 センネン画報の世界
第9室 くらもちふらこ 駅から5分の世界
第10室 マンガ閲覧室

ガイドマンガは会場を出るときに返すことになっているが、ミュージアムショップでも販売されているので買って帰った。