いわき市災害ボランティア活動記録 25/6/11

いわき市での通算10回目のボランティア活動のため小名浜に行った。
今回は被災証明による高速道路料金無料措置を利用した。高速の出口では一般レーンで係員による証明書と身分証明書(免許証)のチェックを行うため、混雑するのではないかと危惧したが、いわき湯本ICでは並ぶこと無く出ることができた。
被災者の優遇という割には被災証明の発行基準は市町村任せだし、被災地支援のためなら非被災者でも優遇したら良いし、何のために被災者無料の措置が取られたのかよくわからない部分もあるけど、僕自身は有効に活用させてもらう。


前日までは30度を越す暑さだったが、この日は一転して涼しい気候となった。雨になるのではという心配はあったが、とりあえず小名浜のボランティアセンターに着くまでは天気は持った。ところが、9時30分に受付を開始したとたんに土砂降りとなってしまった。そのため屋外での作業は中止となり、代わりにその場に集まっていたほぼ全員で小名浜港にある「小名浜美食ホテル」の中のテナント部分の清掃片付け作業を行うことになった。


この施設はホテルという名前がついているけど宿泊施設ではなくて、港の倉庫を改造した、観光物産や飲食の店が入る施設らしい。
ところが津波が来てちょうど僕の身長ぐらいの高さ(約180cm)まで浸水したようだ。
すでに店の設備等は撤去されていたが、壁の部分や床がまだ汚れたままなので、それをきれいにするというのが本日の作業。
僕も亀の子タワシを手にごしごしと壁の津波の後を磨いていった。

磨いたからといって内装をそのまま使うとは限らないだろうが、それでも津波の後が残るのを目にするのはいやだろうから、ひたすら磨いた。飲食店が入っていたためか、ヘドロに油が混じった汚れはなかなか落ちない。右手と左手で交互にタワシを持ち替えながら磨く。

お昼は外に出て、雨がまだ降っているので、屋根がついているベンチに座り、港を眺めながら食べた。右手には水族館のアクアマリンふくしま、左手には観光物産施設の「ららミュウ」がある。もちろんどちらも閉館中だ。

午後も同じく清掃作業。

だんだん腕が疲れてくるが、作業が終わった後のビールを楽しみに頑張った。電気が通じていないので、窓の無い部屋の中は投光器を使っての作業だ。とある飲食店の厨房を掃除していたところ、壁にお店のシフト表が貼ってあった。日付が3月11日のままだったところにリアルな恐ろしさを感じた。

ちなみにこの小名浜美食ホテルの隣も「潮目交流館」という施設で、翌日にイベントを行うということでこちらも同時に清掃作業を行っていた。

午後3時前には作業を終了した。



後ろに見えるのがアクアマリンふくしま



夜は小名浜泊。再び居酒屋巡り。夕方5時半頃に居酒屋街を歩いてみたが、このあたりの開店は6時かららしくまだどこも開いていない。時間つぶしにあたりをぶらぶらと散歩して6時を待った。

前回は客が自分一人だけの店ばかりだったので、今回は他にお客さんがいるといいなと思って、1軒目には先客がいるところに入ったつもりだったが、常連さんが時間調整のためにいただけらしく、僕が入ったとたんに入れ替わるように出ていってしまい、また僕一人になってしまった。

それでも昼間から待っていたビールが飲みたかったので、生を2杯とたこ刺し、揚げ出し豆腐を食べる。

さて2軒目、今度こそ客のいるところに入りたい。店の扉を開ける前に、中から話し声が聞こえることを確認して入った。

お座敷に団体さん、カウンターにも先客がいる。よしよし、いい感じ。空いているカウンターに座り、再び生ビールを飲む。

カウンターの先客はお店の常連さんらしく、お店のおかみさんと気軽に話している。その会話を横で聞いているのもまたひとりで飲む時の楽しみの一つ。
カウンターの中にはもう一人の女性が働く。話を聞いていると二人は親子らしい。

2杯目は日本酒に切り替える。いわきの地酒、又兵衛だ。平の居酒屋でもよく置いてあった酒だ。地元に親しまれているのだろう。何度も飲むうちに僕も好きになってきた。

そしていつしか隣の常連さんとも会話をするようになった。

常連さんは先に帰ったが、その後でおかみさんから、先ほどのお客さんからです、ということで浦霞をごちそうしてもらった。予想外の展開にうれしくなってしまった。


最後にもう一軒、前回入ったお店にも行ってみよう、と思い店の扉を開けた。ここでも又兵衛があったので頼む。今日はこのお店にも先客がいた。近くでバイク店をやっている人らしく、宮城の方にスクーターを届けてきた、というような話をしていた。

先ほどのお店で思わぬ頂き物をもらったせいか、ここでは最後まで飲むことができずに終わってしまったのが残念。

いわきにはボランティアが目的なのか飲みに行くのが目的なのかよくわからなくなってきたが、楽しみが無いと長続きしない。どちらも復興支援ということでよしとしよう。