「津波に奪われた命、そして今」

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いわきのBurrowsで開かれた、津波により家族が行方不明になり今も捜索を続ける姿を追ったドキュメンタリー映像の上映会とトークイベントに行ってきました。
映像を撮ったのは以前は放送局の記者でその後フリーになった笠井千晶さんという方です。
そして映像に映っているのは、福島県大熊町の木村さんと、福島県南相馬市の上野さんで、トークイベントはこの3人によるお話を聞くものでした。
 
木村さんのことは、娘さんを探す姿を記録した「汐凪(ゆうな)を捜して」という本で知りましたが、実際にお会いするのは初めてでした。
上野さんの方は南相馬市の福興浜団の代表で、僕も何度か福興浜団に参加したことがありました。
そのため少しは話を聞いたことはありましたが、本人を目の前にして気軽に聞ける話ではないので、今回は映像として形になった作品をしっかりと見せてもらうことで、またトークイベントでも話を聞くことで理解を深めることができたらと思いました。
 
木村さんは大熊町福島第一原発のすぐ近くに自宅がありました。地震そして津波の後、父親と奥様、そして7歳の次女の汐凪ちゃんが行方不明になってしまいました。しかしご存知の通り原発事故のために避難しなくてはならなくなったため家族の捜索もままならず、父親は4月29日に自宅近くで倒れている姿がヘリコプターからの映像で見つかり、奥様は後にDNA鑑定で身元が確認できたとのことでした。そして次女はまだ見つかっていません。大熊町は立ち入りが制限されているので、今も自由に捜索ができません。月に1度の一時帰宅を利用して捜索しています。そうすると写真とか服とかが見つかるのだそうです。その姿を映像で見ると涙が出てしまいます。
 
そして上野さんも木村さんと同じように津波で両親と長男、長女の4人を失い、長男と父親が今も行方不明です。自宅近くで長女を見つけた話、小学校で長女の卒業証書が上野さんに渡されるシーンなどはやはり涙が止まりません。
 

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映像を見た後で木村さんや上野さんの話がありましたが、もう何度も同じような話をしていると思うので当時のことを思い出させてしまうのが少し辛かったです。でもこの2人が出会い気持ちを共有できたことで、それまで笑顔が出なかったのが笑えるようになったとの話を聞いて、話すことは大切なことなのだなと思いました。
 
両親はいますが、家族も子供もいない僕がどこまで二人のことを理解できたかわかりませんが、これからもできる限り力になってあげたいと思います。
 
笠井さんのドキュメンタリー制作支援プロジェクト「想い願う」
資金支援プロジェクト
 

 

汐凪を捜して―原発の町大熊の3・11

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