全席指定の快速列車ですが約4時間も乗り続けるので弘前でお弁当と飲み物を用意しておきます。
この列車の指定席もあらかじめ予約しておいて、海沿いの景色が良く見えるA席を希望しておいたら希望通りの席が取れたのですが、一人旅なのになぜか個室が用意されていました。
個室は固定式のテーブルが付き、座席をフラットにしてくつろぐこともできる席です。普通の座席の方が開放感があって景色も良く見えるのでは、という気もしないではありませんが、テーブルに飲み物や食べ物を広げられるというのはよかったです。
演奏が行われるのは先頭車両です。車内放送でも流れるとのことですがせっかくなので先頭車両まで移動しました。幸いにも空席がたくさんあるので、空いている席に座り演奏を聞きました。外は時折吹雪いていますが、津軽三味線の激しい演奏がその雪景色を表しているように感じられました。やはり津軽三味線は津軽の風土から生まれたものだと思いました。三味線はあまり親しんで聴くことはありませんが、その速弾きの演奏はロックを思わせます。津軽の魂を感じました。
前半は2人の演者による合奏や独奏でしたが、後半は唄も披露してくれました。その唄には「ほーいほい」という掛け声があるそうで、なんとお客さんにもマイクを向けて一緒に歌うという趣向があって、僕にも回ってきたので歌ってしまいました。
演奏してくれた人たちは鯵ヶ沢で降りていきました。五能線は川部から鯵ヶ沢までは内陸部を走りますが、鯵ヶ沢からはいよいよ海岸沿いを走ります。途中の千畳敷では14分停車するので、その間に外に出て散策することができます。30年前に来た時は夏でしたがその時とはぜんぜん違う景色が広がります。津軽は夏だけではなく冬にも来ないと来たことにならないと思いました。
少し晴れ間が見えたこともありましたが窓の外は再び吹雪です。でも車内は暖かく、弘前で買ったお酒を飲んでます。
お弁当はほたてめしとイカメンチです。イカメンチはいがめんちとも言いますが、本当は居酒屋で食べたかったです。
列車はいつの間にか秋田県に入りました。岩館付近では車窓が絶景ポイントということで少し速度を落としたり、車内の照明を落としたりして幻想的な雰囲気になったりしました。
そして列車は秋田に到着です。秋田新幹線こまちに乗って帰るのですが、新幹線に乗る前に駅近くにあった秋田市民市場を覗いてきました。時間がなくて秋田美人には会えませんでしたが、市場では秋田美人のビールを買いました。
2泊3日の旅も上野で常磐線に乗り換えて終わりです。連日雪降る中を酒場を探して彷徨ったり、今日の昼間は荒れ狂う日本海を見ていたというのに、茨城に帰ると当然ながら雪は積もっていません。まるで夢の中の出来事のような3日間でしたが、青森のハネト体験でもらった鈴の音が幻ではなかったことを証明しています。
青森や弘前では楽しい出会いもありましたが、三味線酒場には行けなかったし、食べられなかった郷土料理もあります。展示物ではない、本物のねぶたも見たくなりました。やり残した宿題をしに、また青森に行かなくてはなりません。