今年は開設されない大洗の海水浴場で、砂浜図書館なるものができたと聞いて行ってみました。
場所は大洗のサンビーチ。泳ぐのがそんなに好きではないので海水浴に行った記憶はほとんどありませんが、砂浜に設置されたタープの下に椅子が置かれて日陰で本を読むことができるというものです。
開設されるのは海水浴場の駐車場が無料開放される午後3時からということなのでその時間に合わせて大洗に向かいました。
受付を済ませた後で本を選びます。昔読んだ本も置いてありもう一度読んでみようかとも思いましたが、なんとなく海に関する本がいいかなと思い、選んだのは荻原浩の「海の見える理髪店」。直木賞受賞作ですが読んだことはありませんでした。
6つの作品が収められた短編集ですが、それぞれの話につながりはありません。ただどれも家族のつながりや記憶といったものがテーマになっているストーリーでした。
午後6時半には終了となる砂浜図書館、それまでに読み終えられるかちょっと心配でしたが、最後に収められた娘を15歳の時に亡くした夫婦の物語が思わず涙が出るほど素晴らしく、ラストスパートのように一気に読み終えることができました。
海水浴場が開設されなくてもそれなりに人が出ていた海岸でしたが、タープの下にいるといい具合に視界が遮られ、正面の砂浜と海だけが目に入ります。本を読んでいる間は物語に没頭することができました。