罰ゲーム

アテネの最終日は、ホテルをチェックアウトしたあとはそのまま空港に向かい帰途につくだけだった。
ホテルの部屋からのインターネット接続は、1日あたり7ユーロだった。
アテネの空港でチェックインした後、今回のツアーの現地係員の池田さんと別れた。ところがこれからがまた受難の道だった。まずはミラノまで行く飛行機が1時間ほど遅れた。もともとミラノでの乗り継ぎ時間が45分しかなかったのだが、そのくらいの時間であればきっと待っていてくれるはずと思っていた。

ところが、実際にミラノに着いてみると、残念ながら成田行きの便は既に出発した後だった。アリタリアの日本人係員より、ミラノを21時40分に出る次のJAL便に振替となったことを告げられ、空港のレストランでの食事券を渡された。最初の予定では日曜日の早い時間に戻るのでそれから家でゆっくり休もうと思っていたのは叶えられなくなってしまったが、とりあえず日曜日のうちに日本に帰ってこられるのでまだ我慢しよう。月曜日は出張で夜勤の予定だったから、月曜日到着なんてことになったらそれこそ大変だ。アテネで預けた荷物を一旦受け取り、同じツアーの人たちとレストランで話しながら時間を潰す。急遽できた待ち時間だが、よりによって決勝で負けた相手のホームタウンで過ごさなければいけないなんて、ついていない。もっとも同じツアーの仲間にミランを応援している人もいたので、罰ゲームという訳ではないか。
街に出てくる時間もない訳ではなかったが、あまり動くのは得策ではないと考えてひたすら待った。そうこうするうちに、やっとJAL便のチェックイン時刻になり、再び荷物を預け、飛行機に乗り込む。

僕は海外旅行に行く時は日系の便を避けているのだけど、以前にも一度香港に行った帰りにキャセイストライキの振替でJAL便になったことがあった。今回はそれ以来の日系の便だ。チェックインカウンターから飛行機の中まで、案内の言語が日本語がメインになってきたので、早くも現実に戻ってしまう気がした。せっかく海外旅行に行くのだから最後まで海外の気分でいたい、それが日系を避ける理由だ。
飛行機には乗れたものの、アリタリアでリクエストしていたベジタリアンミールが、急遽振替になって希望が通るかどうか心配していた。前回のキャセイの振替の時は、リクエストがキャンセルされた記憶があった。今回は、振替が決まった時にアリタリアの係員にすぐに伝えたのがよかったのか、無事にベジタリアンミールを食べることが出来た。それでも予定外に空港で食事をしてしまったので、機内ではあまり食べられなかった。

最初の予定に比べたら6時間ほど遅れたが、27日の16時頃に成田に着いた。ところがここでまたアクシデントが発生した。預けた荷物がなかなか出てこないと思ったら、ついに「LAST」の看板が出てきてしまった。ロストバゲッジだ。今まで10数回海外旅行をしてきたが、初めての経験だった。JALのカウンターで手続きをしてから、ツアー仲間と最後の記念写真を撮って別れた。

今回の旅はつくづくついていない旅だった。どこまで続くんだこの罰ゲームは。