東京タワー、椎名誠

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

三国志も読み終ったので、久しぶりに日本の現代小説に戻って、リリーフランキーの「東京タワー」を読んだ。
今まで彼の本を読んだことはなかったけど、第3回2006年本屋大賞受賞作品ということが大きな理由で、さらに聞いた話によるとビートルズに関するエピソードもあるというので買って読んでみることにした。本屋大賞の受賞作品は、第2回2005年の恩田陸の「夜のピクニック」を読んだのが最初だった。これは受賞する前に読んでいたが、その後さかのぼって第1回2004年の小川洋子博士の愛した数式」を読んでみたところこれも面白かった。そして最近の第4回2007年の佐藤多佳子「一瞬の風になれ」も受賞前に読んでとても感動した。ということで本屋大賞受賞作品は当然のことながら面白い本だという認識を持ち、やっと「東京タワー」を読む気になったのだった。
単行本ではあったけど、昨日から今日にかけての大阪出張に持っていき、一気に読んでしまった。リリーフランキーの自伝的小説ということだが、出身地が九州の福岡小倉で育ったのが筑豊ということで、前半はその小倉や筑豊での生活の様子が中心だった。僕は仕事で小倉に行ったこともあるので、全編を通して話し言葉は小倉弁というのか、聞き覚えのある方言なのがとてもよい。著者略歴によるとリリーさんは1963年生まれということなので、僕よりはちょっと上だけど世代的にはそれほど離れていない感じだ。子供の頃の様子は自分でも似たような点があったりすることも、面白かった理由の一つ。たとえば小遣いは月にいくらというのではなくて1日20円というのも同じだった。
ビートルズに関するエピソードも3つくらいあった。全体的にはそれほど重要なエピソードとしては書かれていないようだったけど、どことなくイギリスに対するあこがれみたいなものも感じられた。


出張の帰り道で「東京タワー」を読み終ってしまったので、羽田空港の中にある田辺書店で残りの帰り道に読む本を探す。家にはまだまだ読んでいない本もあるので、あと1冊持ってくればよかったと少し後悔したが、まだ読んだことのない作品で、荷物にならずにすむものが無いかと思って探し、椎名誠の新刊文庫本をかった。文庫なので新刊といっても初出はもう8年も前の小説だった。

風のまつり (講談社文庫)

風のまつり (講談社文庫)