劇団唐組「黒手帳に頬紅を」

恒例の水戸芸術館での唐組紅テント公演。今回も最前列で見る。テント自体が芝生の上に建てられるので、客席も芝生の上に敷いたゴザみたいなもので、最前列は本当に舞台のかぶりつきになる。役者が目と鼻の先で演じるのを見て、汗とつばと水しぶきが飛び散るのを感じることができるのは唐組紅テント公演の醍醐味だ。今回の作品は、特に赤松由美の体を張った演技に注目だった。唐組ではいつも藤井由紀がヒロインをつとめるけど、今回の作品は赤松由美の出番の方が多かった感じ。それと、最後の方に出てくる水槽潜りに、いつもの唐十郎だけでなく、稲荷卓央もチャレンジしていたのが印象に残る。稲荷さんはいつも主役を熱演し、最前列で見ているとだんだん全身から汗がほとばしってくるのがよくわかるだけに、水槽に潜った後はこころなしかさっぱりしているようにも思えた。以前から水槽に潜りたかったのだろうか、とも思えてしまった。舞台後方が展開して演じるのはいつもはエンディングだけだったけど、今回は前半の唐十郎登場シーンから開いていたのもいつもと違ったところか。唐十郎の実の娘、大鶴美仁音が少年役で出てくるのも注目。