「現代美術も楽勝よ。」「学芸員Aの最後の仕事」

水戸芸術館の今回の展示は、「現代美術も楽勝よ。」というタイトルで、芸術館所管作品の展示で、これまでに開催した展覧会の歴史を振り返るようなものだった。なので、つい最近見たジュリアンオピーの他、ずっと昔に見て面白かったI.F.Pの「アナザーワールド(空の眺め)」(1992年)とか蔡國強の「水戸風水龍脈図」(1994年)などをまた見ることができて懐かしく思った。展示会のタイトルも、以前作品展示があったイチハラヒロコによるものだ。水戸芸術館は基本的に常設展示物を持たないので、こういった企画自体がめずらしいのだけど、実はこの展示はそれだけでは終わっていなかった。
展示室はなぜか搬入用の梱包材とか展示用の材料などが置かれたままになっている。実はこの展示企画自体が「学芸員Aの最後の仕事」というコンセプトになっているのだ。そしてその学芸員は展覧会開催の2日前に水戸芸術館の中で殺されてしまった、という設定。だから展示室が片付けられていないままであり、この展示が「最後の仕事」というわけ。さらにこの殺人事件を巡る映画が作られてそのタイトルが「学芸員Aの最後の仕事」。
この映画は展覧会の中でも上映されているけど、今日は特別上映会ということで、この作品を作ったアーティストユニット、Nadegata Instant Partyによるトークがあるのでその映画も見てきた。つまり今回の展示は、展示会を映画にしたものであり、映画の舞台を展示したものでもあるという、どちらが表でどちらが裏かわからないような2度面白い企画だったのだ。
映画の方は水戸芸術館が舞台になっていて、顔を見たこともある学芸員さんたちも「学芸員」として出演していた。トークの中では「この作品は水戸芸術館版の「ダビンチコード」」なんていう発言もあったけど、本当にそんな感じで、展示物に隠されたキーワードを探していく、ということで映画を見終わった後でもう一度展示を見るとまた違った面白さがあった。

水戸芸術館「現代美術も楽勝よ。」展
http://www.arttowermito.or.jp/art/modules/tinyd0/index.php?id=9


Nadegata Instant Party
http://www.nadegatainstantparty.org/


学芸員Aの最後の仕事」スタッフブログ
http://rchip.exblog.jp/8953202/


学芸員Aの最後の仕事」予告編
http://www.youtube.com/watch?v=RpHnfGzc1KE