石元泰博写真展

水戸芸術館で開催されている写真展を見に行ってくる。今回の展示会は期間が10月9日から11月7日までの約1ヶ月と短く、この秋は他にもいろいろ見るものがあるので行ける時に行っておかないと見逃してしまう。
石元泰博という写真家の名前は意識して聞いたことはなかったけど、展示を見る前にショップを覗いてみたら、水戸芸術館の開館時の写真集の写真を撮った写真家だったそうだ。

展示会場はいつもと違って左側の階段を上ったところが入り口。最初の部屋の「多重露光」という作品群のみカラーで、その他の展示はすべてモノクロ作品。その「多重露光」にしても、シルエットを多重露光して色を付けるという作品だし、モノクロ作品も抽象画っぽい作品が多い。何となく僕が自分で写真を撮るときに理想とするアングルの作品が多いので、面白かった。

展示室は白い壁にモノクロの作品がずらりと並ぶレイアウト。天井や窓も、部屋によっては片方の出入り口まで塞いで写真に集中できる環境だったのもよかった。前回展示の「新次元 マンガ表現の現在」がカラフルな世界だったのに比べると極端なまでにシンプルさを強調していた。

作品の中では、「シカゴ」シリーズの建物や都会の風景、「桂離宮」シリーズがよかった。「桂離宮」では、室内を撮った写真が、柱や梁、畳の縁などの黒い線を強調したものが、モンドリアンの作品に通じるものに見えてくるのが面白かった。それほどまでに対象物を抽象的に切り取って写真に収めているのだった。
建物以外でも人物を撮った作品もあったが、普通のポートレート作品以外にも、街の人々の後ろ姿だけを撮った「シブヤ、シブヤ」というシリーズがあったりして、人物写真といえども抽象的に撮っている作品が印象に残る。

何気なく撮ったように思える写真もなぜだか強烈な印象を残している。写真の良し悪しの境目はなんなのだろうと思う。

石元泰博の作品は、ほとんど高知県立美術館で所蔵しているそうだ。高知でも作品が見られるのだろうか、行って見てみたい。


水戸芸術館の展示案内はこちら。
http://www.arttowermito.or.jp/art/modules/tinyd0/index.php?id=13


この写真展の前に、水戸京成でランチをしたけど、レストランの窓から芸術館のタワーが見えたのでパチリ。