神保町ブックフェスティバル、赤羽 まるます屋、大塚 こなから


東京出張の合間に神保町でちょうどブックフェスティバルが開催されて、愛読する本の雑誌社も出店するという。いつも活字を通して読んでいる社員の方とお会いできるチャンスということで、初めてブックフェスティバルに行ってみることにした。

前日は夜勤の仕事で、ブックフェスティバルに行く前に軽く仮眠しておこうと思っていたが、仕事が長引いて仮眠しないまま神保町に向かった。

地下鉄の出口を出るともうそこが会場で、すずらん通りの真ん中に出版社のワゴンが並んでいてすでに大勢の人で賑わっていた。目指す本の雑誌社はずっと先のほうにあったので、途中のワゴンをちらりと横目で見ながら歩いていく。

ようやく本の雑誌社のワゴンに到着してまずはワゴンの中をチェック。自社刊行本が並んでいてサイン本もあったが、本の雑誌のバックナンバーが目に入った。僕が本の雑誌を定期的に買い始めたのは1988年春のちょうど季刊から月刊に変わる頃だったが、今日ワゴンに並んでいたのはそれよりもはるかに昔の1977年ごろからのものだった。1冊3000円だったので何冊も買うのはできなかったが、並んでいる中で一番古い77年春号を1冊買うことにした。

それともう一冊、新刊の「古本の雑誌」も一緒に買い、お金を支払ったところで店の人に声をかけた。そしたらその人がH田さんであり、M村さんも一緒にいたので改めてご挨拶した。H田さんには震災直後には心配してくれたメッセージをいただいたり、定期購読で届いた「本の雑誌」にお見舞いの品を入れてくれたりとお世話になっていたので、この機会に直後お礼をいうことができてとてもよかった。

ワゴンには他のお客さんもどんどんやってきて社員の方に話しかけてくるので僕もその場を離れることにした。他のワゴンも改めて眺めながらさくら通りの方に歩いていくと、一度行ってみたいと思っていた「クラフトビアマーケット」がお店の営業はせずに屋台で営業していた。そこに福島の猪苗代地ビールがあったので買ってみた。


ビールを飲みながらすずらん通りに戻り、今度は靖国通りを歩く。ずいぶんと久しぶりに通ったが、なんだか懐かしい通りだ。以前ほど本の所有欲が無くなったので今回は古本は何も買わず店頭の棚を覗くだけだった。

12時をすぎてだんだんおなかがすいてきて眠くもなってきたので、神保町を後にして赤羽に向かった。

赤羽には昼から飲める店として居酒屋ファンには有名なお店があるのだ。それは「まるます家」という店で、僕が着いた時にも店の前に大勢の人が待っていた。これはすごい人気店だなと思ったがどうやら中に入るのを待っているのではなく、誰かが出てくるのを待っているようだった。
それで扉を開けて中に入ると、ほとんど満席だったが一人の席を教えてもらい壁に貼られた短冊メニューを見る。
さて何を頼もうか。ビールはさっき飲んだので日本酒にしてみよう。「富久娘」を頼んでみたら「温かいの?」と聞くのでそのまま「はい」と返事して今秋初めての熱燗を飲むことになった。料理は何にしようかかなり迷ったが、マグロ納豆とイカの浜焼きにした。


周りの人の会話を聞いていると、どうやら外の出待ちは2階で宴会をしている吉田類さんが目当てらしい。吉田類さんといえば「酒場放浪記」というBS番組で酒飲み人の間では有名な人だ。いつ出てくるかわからないけど、僕も楽しくなってきた。

同じ店に吉田類さんがいる、ということがきっかけで隣の男女2人組と話しをするようになった。カウンターいっぱいに肩を寄せ合うような店なのでこんなことも自然にできてしまう。これぞカウンター飲みの醍醐味だ。

といったところで突然2階から吉田類さんが降りてきてすぐ近くに立ち、カウンター越しにビールを注文してきた。すかさず周りから類さん、類さんの声がかかり握手攻めにあう。そして店にいた人たちと一緒に乾杯をした。僕も握手をさせてもらった。今日初めて入った居酒屋でこんな幸運に会えるなんてとてもよかった。


類さんが出ていったところで改めて飲み直し。店の名物は鯉とうなぎとのことで再び迷ったが、結局うなぎの蒲焼にした。酒は、周りの人がだいたい飲んでいたジャン酎モヒート。ハイリキ1リットル瓶がそのままドンと出てくるのがすごい。


この店では酒は一人3種類までというルールがあるようだが、このジャン酎があれば時間が稼げる。ところが、隣の2人組との話しが面白くなってきて盛り上がり、ずいぶんと長居をしてしまったようだ。しまいにはお店の人にやんわりと追い立てられてしまった。

さて次はどこに行ったのだろう。谷根千に行こうということでタクシーに乗り、1軒目は貸し切りで入れず、もう一度タクシーで連れられて行ったのは千駄木すずらん通りにあるカラオケスナックのような店だった。なんで初めて入った店で初めて会った人とカラオケを歌いに行くのか訳がわからなくなってきたけど、これも酒飲み人の楽しみと思おう。

その店で何曲か歌った後で解散となった。そこからホテルに帰るまでもともと今日行こうと思ってた大塚の居酒屋にも行ってみた。その店は銘酒居酒屋として知られる「こなから」。

ここでは福島の「夢心」を飲んだのだが、飲みながら眠っている自分に気がつき、一杯だけで店を後にした。そういえば今日は徹夜明けでここまできていたのだったことを思い出した。この店には改めて飲みにこようと思った。