閖上、山元、福島

今日はちょっと早起きして宮城県名取市へ。
津波で大きな被害を受けた閖上地区で、昔から開催されていた港朝市が、震災後は内陸のショッピングセンターで開催していたのがこの日からもとの場所で復活するというので行ってみることにしたのでした。それと、せっかく宮城まで行くので2011年9月から2012年3月にかけてスコップ団の活動のために何度も通った山元町の今の様子も見てみたいと思いました。

閖上は、NHKスペシャル「巨大津波 その時ひとはどう動いたか」でも取り上げられました。僕はこの番組は見なかったのですが、テレビ放送では検証しきれなかったことを詳細に記した同名の本を最近読んだので、実際に自分の目で見たくなったのです。

まずは朝市を目指します。
これまでに何度も朝市に行っている宮城の友人にお勧めをたくさん教えてもらいました。そのアドバイスに従い、お腹をすかせて朝市に行き、揚げたてのアジフライをその場で食べ、玉コンを食べ、試食の海藻スープや仙台味噌のみそ汁を飲み、後で食べるおやつ用にマフィンを買い、お土産用にシジミの佃煮や松前漬け等を買いました。お店の人も買い物客もみんなニコニコしててとても楽しかったです。たまたま近くで活動していたスコップ団の仲間の一人とも再開することができました。

宮城県ゆるキャラむすび丸」もいました。

むすび丸の肩書きは「仙台・宮城観光キャンペーン推進協議会事務局宮城県観光PR担当係長」。この朝市を取材していたようです

朝市の後は閖上地区の視察です。
朝市近くには小高い丘のような場所に神社が建っていました。この上に立つと周りの風景がよく見えるのですが、家々の跡だけが目につくのでちょっと悲しくなってしまいます。

閖上中学校にも行きました。中学校の時計は2時46分を指して止まっていました。この中学校では生徒14名が犠牲になっており、慰霊碑が建っていましたので線香をあげてきました。

中学校の前にはこの地域で起こったことを伝える役割を持つ「閖上の記憶」というプレハブの建物がありました。ここで地元の人から津波の動画や写真を見せていただいたりお話を聞いたりしました。このあたりの海は遠浅であり津波は来ないと思っていた、しかも地震から津波が来るまでに1時間も時間が空いたのでみんな油断していたとの話でした。

それから、「巨大津波」でも記された場所を自分の足で歩いてみることにしました。
冒頭に出てくる「バス通り」とか「商店街」などが、道路は残っているのですが、周りの家々がすっかり無くなっているので、その周辺に商店街があったことを想像するのがとても困難でした。

そのほかにも、名取川の水門の津波到達点を示す線の高さに呆然としたり、かさ上げ工事のイメージをつかむために試験的に作られた盛り土の上に上ってみたりしました。


閖上地区を後にして次は少し内陸に入ったところにある閖上さいかい市場に行きました。ここは先ほど訪れた閖上地区の商店が集まってお店を出している仮設商店街です。閖上地区ではちょっぴり悲しい気持ちになりましたけど、ここでは未来があるような気がしました。

せっかくなのでこの仮設商店街でお昼を食べることにしました。何軒かある食堂のうち「浜や」さんで海の幸満載の「浜丼」を頂きました。とてもおいしかったです。

昼食の後はこの商店街でもお買い物。お酒や笹かまなど、もともとは閖上で作っていて今は別の場所で復活して作っている品々を購入しました。


次に向かったのは国道6号を南下した山元町です。スコップ団の頃は山元町にあるJR常磐線山下駅に朝9時集合していました。今回も実は朝9時に山下駅に行ってみようかとも思っていたのでした。

スコップ団として最後に山下駅にいたのは2012年3月4日。それから1年と2ヶ月が過ぎて、今は駅舎が取り壊されてしまっています。話には聞いていたけど、実際に見てみるとなんだかぽっかりと心に穴があいたような気分になりました。あの時仲間が集まっていたのは夢の中の出来事だったのだろうかとも思ってしまいました。

駅の周りを歩いてみて、こちらも家がだいぶ取り壊されているようで、以前片付けをお手伝いした家々はどの辺だったのだろうかと記憶を辿るのが困難でした。

駅から少し海寄りにある山下第二小学校にも行ってみた。ここもみんなできれいにしたところだったのに、小学校の建物もきれいさっぱり消えていた。本当に、あの時は夢か幻かと思ってしまうけど、校門のあった辺りに記念碑なんかが集められていて、これが現実だってことがわかりました。

いろいろな思いを巡らせた宮城県を後にして、再び福島に戻ります。ホテルに戻る前に、あまりにも天気がよいので福島市内の花見山に行ってみました。4月に行った時は花は咲いていたものの天気がよくなかったのです。今回はさすがに花の盛りは過ぎていましたが、天気がよいのできれいでした。


さて、今晩も福島酒巡りです。
ところが今日は連休で人出が多いのか、入ろうと思ったお店が満席なのが2軒続き、お店の外にスコップ団にも縁のある宮城の「宮寒梅」の名前が目についた「美神の宴」というお店にやっと入ることができました。
この店に入るのは初めてです。午前中朝市を見てきたので今日は刺身を食べたい気分。日本酒の前にはまずはビールということでギネスと、お造り3点盛りを頂きました。昨日の夜は生ギネスでしたが、ここはサージャーギネスです。まああまり細かいことは気にしません。そして宮寒梅を頼もうとしたら、今は置いていないとのこと。ちょっとがっかりしつつ、ここは宮城ではなく福島なのだからと思い直し、会津の末廣を飲みました。

次はどこに行こうかと思いましたが、今日は引き続き初めての店に入ってみましょうか。そう思っていたら路地裏に続く道に魅力的な看板を見つけました。おでんの「華蓮」というお店です。カウンターに座ると目の前におでん舟がありました。そうすると飲むお酒は自然と熱燗を頼んでました。会津ほまれと、イカ天、さつま揚げ、厚揚げのおでん3種を頂きました。

そして3軒目は今日も「Library」へ。もうすっかりおなじみですね。昨日に引き続き頼むものも同じジントニックとグレンリベットです。グレンリベットはちょっぴりおまけしてもらいました。



この2泊3日の写真は、解説付きでfacebookのアルバムに載せていますので、併せてご覧下さい。

巨大津波――その時ひとはどう動いたか

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