Paul McCartney 28 Apr@日本武道館


今回のライブツアーも今日が最終日、そして会場が武道館です。
武道館といえば日本のビートルズファンにとっては聖地なようなもの。1966年にビートルズとしてたった1回だけ来日した時に演奏した唯一の会場なのです。武道館は本来は東京オリンピックの柔道の会場として建てられて、当時はロックの演奏会に使うなんてもってのほか、なんていう雰囲気だったようですが、ビートルズが演奏したおかげで日本だけでなく世界中のミュージシャンからも一目置かれる会場になりました。

僕自身はこれが4回目の武道館ライブ体験でしょうか?初体験は確かFaye Wong、ジョンレノンスーパーライブで2回くらい、そして2008年のThe Whoが一番最近になるかと思います。

泊まったホテルが武道館に歩いて行ける距離だったので、今日は13時過ぎにグッズ売り場の列に並びました。僕自身はもう買うつもりはなかったのですが、昨日会ったK君が武道館限定のTシャツが欲しいけど着くのが15時くらいになりそうだとのことなので、時間に余裕のある僕は代わりに並ぶことにしたのです。武道館に着いてみるとすでに長蛇の列。武道館の周りを半周するくらいの場所に並びました。そしてなんと武道館限定のTシャツはあっという間に売り切れなんだそうです。しかし希望者は当然たくさんいるので、予約販売するとのことなのでそのまま列で待ち続けました。

2時間以上並んでやっと申し込んだらそこがほぼ会場の入り待ち場所らしく、たくさんのファンが集まっています。武道館では入り待ち場所がわからなかったので今日は入り待ちをするつもりはなかったのですが、流れで入り待ちをすることになりました。ふと気がつくとK君も近くにいました。こんな会場の真正面というわかりやすい場所なのでファンも大勢集まっています。本当にこの群衆の前をポールの車が通るのだろうか、しかも時間も16時を過ぎてるしとまたまた不安に思っていましたが、16時半ごろになって本当にやってきました。しかしドームの時は車道側、つまり車の左側に座っていたので今日も同じ側で待っていたのですが、今日は反対側の窓から手を振っていたのでした。だから今日は手だけ、後から見た写真でも後頭部だけしか見る事ができませんでした。


ここでK君と合流して一度武道館を離れて少し飲みました。K君は昨日の夜は一旦家に帰って今日出直してきました。K君の奥さんも高校の同級生なので、家で僕のことを話したそうです。Tシャツが届いたら家に届けに遊びに行く約束をしました。


そして会場入りしようと思いましたが、武道館はドームに比べると収容人数が少ないのですぐに入れるかと思ったらなかなか入れません。開演時間の18時半になってもまだ開場していませんでした。ただ並んで待っているのもつまらないので、今日はいろんな著名人が来るはずだからと、関係者受付のところで待っていることにしました。サッカーの前日本代表監督のザッケローニさんはわかりましたが、ほかにもミュージシャンのKANさん、演出家の鴻上尚史さんがいたようです。僕は顔がよくわかりませんでしたが、K君が気がつきました。

しばらくして会場に入りました。今日の席は2階席。ドームではアリーナを希望してスタンド席になってしまったのですが、武道館では最初からスタンド席狙いでした。それは1966年にビートルズが演奏した時はアリーナには客席がなかったから。当時のファンと同じように僕もスタンドから観たかったのです。


今回の武道館公演はドーム公演から少し遅れて発表になりました。去年も予定されていたので今年も必ずやるだろうとは思っていましたが、たまたまチケット発売前日と当日に大阪に出張がありました。前日の出張先はプロモーターのキョードー大阪のあるのと同じビルでした。そのためチケット発売のための整理券を受け取ることができ、翌日も発売時間にキョードー大阪に行くことができたのです。今ではチケット販売はネットで購入するのが一般的ですが、キョードーではわざわざ1966年当時を再現するために窓口販売をしたのでした。僕が買ったチケットはS席で8万円もするのですが、アリーナとステージ正面に当たるスタンド南側のSS席はなんと10万円もします。ドーム公演の約5倍ですが、客席数がドームでは5万人に対し武道館は1万人なので人数ときれいに反比例していたのでした。

スタンド席といえども武道館はアリーナ自体がそれほど大きくないのでステージまでの距離が近く感じます。加えてドームと違いステージは両側に囲いがない開放的なつくりでした。伝説の武道館のせいかはたまた払ったチケット代のせいか、開演を待つお客さんもみんなテンションが高く、スタンドでアリーナで自然と拍手が起こりウェーブが回ります。

いつもと同じようにThe Endが流れて照明が消えるといよいよポールの登場です。注目の第1曲目はCan’t Buy Me Loveでした。武道館ではどんな曲をやるんだろう、まさかビートルズのステージの再現はないだろう、でも何曲かはやるはずだ、いや同じツアーではそんなに構成は変わらないよね、といろいろ想像していましたが最初からいきなり変えてきました。続く2曲目は昨日と同じSave Usだったので後はやっぱり変わらないのかなと思ったら4曲目がジョンと初めて一緒に作った曲、という紹介でOne After 909でした。過去の日本でのライブでは初めて聞く曲でした。そしてビートルズの時に武道館で演奏したPaperback Writerを演奏した時には感動です。ポールもいつものMCとは違って武道館ということを意識した話をしてました。みんなの中でビートルズの武道館に来たことがある人いる?というポールの質問には大勢の観客が手を挙げたので嘘だろーと笑いながら見てましたが、その後もポールは手をかざして客席をゆっくりと見渡しているので、きっと感慨にふけっていたのでしょう。

中盤でギターチェンジの時にウクレレを持ってきたのでジョージのSomethingをやるのかと思ったらなんと持っていたのはマンドリンで、曲はDance Tonightでした。これも今日だけの演奏曲です。それから、「セカイハツコウカイ」と紹介したので、誰も聞いたことがない曲でもやるのか、そしたら誰も知らないから盛り上がらないじゃないか、と少し心配したのですが、演奏したのはなんとなんとビートルズのAnother Girlでした。後で聞きましたがこれこそビートルズ時代も含めてライブでは一度も演奏したことがなかった曲でした。続いても今回のツアーではやってなかったGot To Get To Into My Lifeと怒涛の演奏。ステージも客席も大盛り上がりです。今までのポールのライブでは観客が一緒になって大合唱するというシーンはあまり見られなかったように思いましたが、今日は観客もよく歌います。拍手も心なしか大きくて、話に聞く海外のライブのようなノリでした。今日のステージは開放的なだけでなく後ろにはスクリーンもありませんでしたが、その分ポールの演奏や歌に集中することができます。やっぱり武道館は最高のステージです。


今日はプロモーターからも特別な演出がありました。2年前の東京ドーム最終公演では赤いサイリウムを入場時に配って、Yesterdayの時にみんなで掲げましたが、今回はさらにパワーアップして、客席にリストバンド式のライトを配り、無線で一斉に点灯させる作戦らしいです。さすが芸の細かい日本人の仕事です。前半は特に点灯しませんでしたが、後半になると自動的に点灯しました。しかも単色ではなくて曲によっては色を変えたり、座席によっても色を変えたり、これにはポールも観客もびっくりです。よく見るとアリーナ席は日の丸、スタンド席はユニオンジャックになっているのでした。

個人的には今日はアンコールあたりでI’m Downをやるのではないかと思っていました。ビートルズの時にも演奏しているし、最近のツアーでも時々演奏しているからかなりの高い確率で演奏するのではと期待していたのですが、本編のステージが終わった後、アンコールのステージでYesterday、BirthdayときてGolden Slumberとなってしまいました。ここまでくると本当のラストなのでしょう。いつもより曲数も少なかったですが、いよいよ終わりです。素晴らしい曲を聴いているという感動もありますが、もう終わってしまうという現実に悲しくなってしまいます。今日はアンコールは1回だけで、全体の曲も少なかったし、気がつけばビートルズ時代に武道館で演奏した曲は予想(期待)に反してかつ昨日よりも少ない2曲だけでしたが、今日しかやらなかった曲もあり、ステージと客席の一体感が強く感じられて、今日また伝説のステージが生まれました。

ポールの最後の言葉は「マタアイマショウ」でした。72歳でもこんなにロックして楽しませてくれるポールなら、本当にまた来てくれるかもしれません。来年は武道館での演奏から50周年なので、来年来ちゃうかもしれません。その日をまた待ちましょう。



武道館の後は近くの居酒屋に入り、その後も昨日行ったバーに行きましたが、どちらのお店でも隣に座った人がやはり武道館帰りということでお互い興奮して語り合いました。ポール最高です。



全部で3回行った今回のライブの写真はfacebookのアルバム

今日のセットリストはこちら。
http://www.universal-music.co.jp/paul-mccartney/news/2015/04/28_report


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