水戸芸術館の現代美術の展示を見に行ってきました。今は連続して出張中なので、下手すると見ないうちに展示期間が終わってしまうので、一時的に帰宅しているときに見に行くことにしました。
水戸芸術館に着くとちょうどプロムナードコンサートが入場無料で開催されていて、展示を見る前にバイオリンとピアノの演奏を聴きました。やはり生の演奏はいいものですね。
今回の展示はイギリスの作家、ダレンアーモンドの作品。映像や写真、フラップ式のデジタル時計などといった作品を発表しているようです。
入り口で「暗い部屋での映像作品が多いですが大丈夫ですか?」と念押しされるような展示で、エントランスこそ白い壁一面に掲げられたデジタル時計や、標識のようなプレートに書かれた詩の作品でしたが、第1室に入るといきなり真っ暗な部屋でのビデオ作品でした。部屋に入った瞬間は暗さに目が慣れないけど、徐々に暗闇の方もうっすらと見えてきます。映されているのは鉱山の映像でした。ただあまりはっきりとした映像ではなく、解説によると中央シベリア高原にあるノリリスクという都市の映像だそうです。ただしここはニッケル鉱山の影響で有毒ガスが放出され、チェルノブイリ等と同じように居住や旅行が制限されている都市だそうです。展示室の閉塞感が実体験を伴って迫ってきます。
次の部屋もやはり映像作品でしたが、こちらはちょっとわくわくする感じの映像でした。遊園地の中のお化け屋敷の中を走る幽霊列車を使った映像ということもあるのでしょう、音楽もよかったです。
次からは普通の展示で、写真と時計が中心です。写真作品は夜明けの光で撮影した花とか桜などがあり、幻想的な雰囲気が漂います。また時計の作品は、昔、小学生、中学生の頃によく見かけたぱたぱたと動くデジタル時計に使われていたような文字が繰り返し出てくる作品で、また雰囲気が違います。
しかし強烈な印象を残すのは一番奥の部屋での映像作品でした。これは比叡山の修行の様子を撮影したもので、闇夜の中を修行僧が走ったり祈ったりしているのですが、読経の声と暗闇の映像がかなり異形の世界を醸し出していました。
それにしても映像作品は見るのに忍耐力がいるなと思いました。短い作品でも9分、長いのだと20分から30分近くもある作品はとても全部は見られませんでした。簡単なソファは置いてあるものの、基本的には部屋を移動しながら鑑賞する美術館で放映するのと、映画館のように座って鑑賞するスタイルで放映するのとはどちらがよいのだろうかと考えてしまいました。
12月14日からはワークショップ室で関連イベントとして日本人作家の映像作品も展示されるので、また機会があったら見に行こうかと思います。
そういえば、最初に展示されていた詩は、老子の言葉に着想を得たティモシーリアリーの詩 で「All Things Pass」から始まります。ジョージハリスンの名曲「All Things Must Pass」もこの言葉から取ったのだったかなと思いました。
ダレン・アーモンド 追考
2013年11月16日[土]から2014年2月2日[日] まで
http://arttowermito.or.jp/gallery/gallery02.html?id=374