シアターキューブリックの演劇を観てきました。
その前に、シアターキューブリック恒例のまち歩きにも参加しました。
駅の周辺はまるで迷路のような細い路地が入り組んでいて、案内なしではとても歩けそうにありません。この辺りは昔は遊郭があったところで、今でもその当時の建物が残っていました。角がカーブを描いていて2階にベランダがあったり、タイルが埋め込まれているのがその名残だそうです。
まち歩き定番の食べ歩きももちろん楽しみました。
お菓子屋さんでは、江戸野菜の寺島なすを売り出そうと、寺島なすの甘露煮を埋め込んだ最中、「なすがまま」をいただきました。
一旦解散して、寺島浴場に集合。シアターキューブリックはローカル鉄道や商店街など劇場にこだわらない場所で演劇を行っていますが、今回は銭湯が舞台なのです。
(ここから先は公演内容にも触れるためしばらく公開を控えます)
(公演が終了したため内容に触れる部分を追記します)
しかも女湯で上演されるということでなぜかドキドキ。番台で受付をするとなぜかしばらく足止めされます。何か役を言われるのかなとか思いつつ、せっかく前の方に並んでいたのに、後から受付した人たちが先に席の方に移動していくのを見て少し気持ちがざわつきます。全員が入場した後にやっと声がかかって風呂場の方に入ると、洗い場に置かれた風呂用の椅子が僕の席でした。先に入った人たちは壁際の椅子に座っていました。最後に座ったのはどういう意味だったのかは結局わかりませんでした。
改めて舞台を見渡すと、観客は洗い場の壁際に座り、真ん中が役者の動くスペースになっています。観客がお風呂に入るわけではないとのことですが、役者は入るので足元が濡れるかもとのこと。そのために靴下を脱いで裸足になっての観劇です。係りの人からの注意事項のあと、いよいよ開幕です。脱衣場のほうから役者が登場します。男性陣は上半身が裸でタオル地のショートパンツや褌姿、女性陣もラップタオルで肩を出したものが衣装です。僕の席からはそれこそすぐ隣で俳優たちが演技をするので息づかいなども感じられるくらいの距離でした。
ストーリーは、未来の時代の主人公が現代にタイムスリップしたようなもので、小学生時代の記憶がよみがえるようなセリフのやり取りがありました。なぜタイムスリップしたかというとやはり主人公にとっては後悔するような出来事が気になって仕方がない、ということなのでしょうか?途中で親友が病気で亡くなってしまうという出来事がありますが、その時に主人公と親友の会話と、先生と生徒たちの会話が舞台をクロスするように飛び交うのはスリリングでした。
芝居とは関係なく存在する場所と、演劇による想像の物語が交錯するという手法はシアターキューブリックの、というか脚本演出の緑川さんの得意とするところなのはこれまで見てきた芝居からもわかります。
夕方から実際に銭湯としてオープンするまでの午後の時間、50分という短い時間ですが、ノスタルジックな想像の世界に浸ることができました。
芝居の時間が終わってカーテンコールになると写真撮影がOKとなりました。
これが今回出演の皆さんの衣装です。露出度高めで多少めのやり場に困ってしまう方も。男性陣はシアターキューブリックの俳優たちですが、女性陣は全て他の劇団からの客演です。でも先生役のささきくみこさんはひたちなか海浜鉄道スリーナインにも出演していたのですでにお馴染みです。
終演後の俳優の見送りはなかったのですが、銭湯の前で余韻にふけっていると、次の場所に移動するささきくみこさんが出てきたので、挨拶することができました。
(追記ここまで)
芝居を見た後はこの寺島浴場に入るつもりです。今回のチケットは銭湯の入浴券も付いている券を買いました。後から気がついたのですが、まち歩きの申し込みにも入浴券が付いていたので重複してしまいました。なので1枚は今日使うとして、もう1枚は後からでも使える共通入浴券に交換してもらいました。
銭湯のオープンまでは少し時間があったので、東武線の高架下にある東武博物館に入ってみました。入場料200円で、東武鉄道の蒸気機関車から昔の電車などの実際の車両の展示、実物大の運転席に座っての運転シュミレーターなどがありました。この博物館は高架下というか、東向島駅のホームの下にあるので、実際に走行する電車の線路を真横から見ることができる場所があるのが独特です。
再び寺島浴場に戻り、ひと風呂浴びます。今度は当然男湯です。
久しぶりの銭湯でさっぱりした後は、まち歩きの途中で見つけた渋い居酒屋に行ってみました。調べてみれば酒場放浪記で吉田類さんも訪れたお店のようです。地図と記憶を頼りに再び細い路地をたどり着きました。
板張りの外壁がなんとも風情がある十一屋という、お好み焼き屋さんも併設している大衆酒場でした。一杯目は生ビールでしたが、二杯目からは焼酎ハイボール、いわゆる下町のハイボールをいただきました。カウンターにクエン酸のボトルが置いてあり、お客さんは自由に入れて味の変化を楽しむことができるようになっていました。
このお店からは東向島ではなくてお隣の鐘ヶ淵駅の方が近いようだったので、鐘ヶ淵駅まで歩き、北千住まで移動します。そこから常磐線に乗り換える前にここでも寄り道。駅近くの千住の永見という大衆居酒屋に立ち寄りました。とても賑わっているお店のようで、カウンター席はいっぱい。テーブル席に相席となりました。
ここでも焼酎ハイボールなどを飲みました。最初は一人で飲んでいたのですが、そのうちに相席の方とお話しするようになるのも居酒屋の楽しみです。
演劇と銭湯と居酒屋。とても楽しい一日でした。
「寺島浴場の怪人」は10月11日まで上演されます。