ある町の高い煙突

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新田次郎の小説を松村克弥監督により映画化した作品を、ユナイテッドシネマ水戸で見てきました。全国公開は6月22日からですが、地元舞台の映画だけに水戸では今日から公開です。
この映画館は以前はシネプレックス水戸という名前だったかと思いますが、名前が変わってからは初めて来たかもしれません。
金曜日はCLUB-SPICEという会員のメンバーズ特典で料金が1000円とのこと。入会金500円を払っても通常料金の1800円よりも安くなるのでCLUB-SPICEに加入することにしました。
 
翌15日には監督や主演した俳優たちによる舞台挨拶があるのですが別の予定があったために行けなくて残念、と思っていたところに、今日も松浦監督と孫作役の城之内正明さんの舞台挨拶があるということを水戸に向かう途中に知りました。
 
もともと地元が舞台の実話を基にした小説ということで新田次郎の本は読んだことがありましたし、高校時代は日立市にある高校に通っていたので大煙突はとても馴染みがあるものでした。それが僕が就職してから数年後に一部が崩壊したというニュースを見てとても驚いたものです。
 
出演している俳優は若手が中心でしたが、水戸出身の渡辺裕之のほか、吉川晃司や仲代達矢小林綾子などのベテラン勢が周りを固めて、とてもいい映画になっていました。人物名は実在の名前とは少し変えていましたが、雰囲気は残しているので誰がモデルになっているかはだいたいわかります。
 
松浦監督はこの作品の前にも茨城を舞台にした「天心」「サクラ花-桜花最後の特攻-」という作品を撮っているので、地元を持ち上げるような作品になるのは予想していましたが、いわゆる悪い人が出てきません。最初の印象が悪くてもずっと引きずるわけではなくいい人になっていきます。元のストーリー自体も企業と地元住民が対立するのではなく協調していくというものなので、約100年前の話ですが現代にも見習うべき姿勢があると思います。そんな歴史の中に今も日立の街の中にある桜の木のルーツがあったり、僕が勤務する会社の創成期の人物も混じっているのは誇らしい限りです。エンドロールには協賛した企業や個人の名前がたくさん出てきました。そうえいば以前資金集めの寄付を募っていたような記憶がありましたが、タイミングが合わなかったか何かで寄付しそびれてしまいました。
 
上映後に松浦監督と城之内さんによる舞台挨拶がありました。松浦監督自身も子供の頃に喘息で苦しんだ経験があり新田次郎の小説に感銘を受けていたそうで、それがこの映画につながっているそうです。城之内さんは茨城県の取手出身とのこと。役では猟銃を持って会社側に押しかける役を演じましたが、実際はもちろんそんなに激しい気性ではないそうです。明治から大正にかけての茨城県北地方の話なので茨城弁もたくさん出てきましたが、松浦監督によると仲代達矢さんは無理に慣れない茨城弁で話すより演技優先で茨城弁にはこだわらないセリフを話したそうです。逆に小林綾子さんは、渡辺裕之さんから茨城弁を学んで見事に取り入れたというエピソードを話してくれました。