いわき市集合大作戦

僕がいわき市でボランティア活動を行うきっかけとなったのは、会社の中にあるSNSだった。これはグループ会社の社員が利用できる専用のSNSで、業務用の利用はもちろんだが、業務外の息抜きとしても活用されている。
自分自身の生活の中から震災の影響が薄くなってきた4月の終わり頃、この社内SNSでボランティア活動の話を聞き、それがきっかけで福島県いわき市にボランティア活動に通うことになった。

いわき市に通うことになったきっかけについてはこちらのエントリー参照

僕と同じようにいわき市に行ったことがある人もいて、勧めてくれた人も含めた3人でいわき市に集まろうかということになった。
ただし、会社は7月から輪番休業が始まり、3人全員の休みが合う日が夏期休暇の時期しかないことがわかったため、8月11日にいわきに集合して、昼は一緒にボランティア活動を行い、夜もいわきの街で飲むという「いわき市集合大作戦」を行うことにした。
すると当初の3人に加えて、一緒に活動したい、という人が追加で3人現れたので総勢6人での作戦となった。
僕以外のメンバーは何人か面識があるようだったけど、僕自身は全員が初対面。当日朝はわくわく感で早く目が覚めてしまった。



8月11日朝8時50分にいわき市のボランティアセンターにて集合した。いわき市災害救援ボランティアセンターは、8月8日からいわき市復興支援ボランティアセンターに名称が変更になっていた。これからは災害復旧支援から生活復興支援がメインになっていくとのこと。
いわき市で初参加のメンバーがオリエンテーションを受けている間にマッチングが始まったが、以前一緒に活動したボランティアメンバーに誘われて、久之浜での側溝清掃に6人全員で参加することにした。

久之浜での作業も何度目か?いつもの久之浜公民館に車を止めると、その公民館の脇を通る側溝が作業場所だった。ここの側溝は幅も深さも1メートル以上はありそうな大きなもので、水も流れているので泥になっている土砂を取り除く作業だった。

真夏の太陽は容赦なく照りつけ、休憩の度に水分を補給する。

この久之浜地区では以前よりガレキに花を咲かせよう、という活動も行われていて、解体する予定の建物に花の絵が描かれているが、その花もだんだん増えているようだった。ただ悲しんでいるだけでなく、元気を出そう、というメッセージがよく伝わってくる。


総勢30人近くで作業を行ったため、午後早い時間に予定の作業が終了したため、一部のメンバーはボランティアセンターに戻って写真などの思い出の品の洗浄作業を行うことになった。これまで思い出の品を取り出したことはあったものの、洗浄作業は初めてだった。このときの様子がボランティアセンターのブログでも紹介されていた。
http://iwakisaigaivc.blog.fc2.com/blog-entry-128.html



夕方4時には作業も終わり、全員でホテルにチェックインした。ひとまずシャワーを浴びて、これから飲みに行こうとするが、この日は震災から5ヶ月目、東北地方の太平洋沿岸で一斉に花火大会が行われて、ここいわき市でも開催されるので、花火組と飲み組に分かれることになった。

僕は花火組に。花火大会の会場は小名浜港だが、港の近くは道路も通行止めとのことで、少し離れた三崎公園に行ってみることにした。ちょうど小名浜港を外から見る形のその場所から見る花火はとてもきれいだった。この花火大会は震災で亡くなった人たちを思う気持ちと、復興を願う気持ちが込められている。夜空に大きくあがる花火を見て涙が出そうになった。


花火大会は30分ほどで終わり、再びホテルに戻り、飲み組と合流。会場は参加メンバーのひとりが、気仙沼の漁師さんの知り合いのいわきの漁師仲間に頼んで予約してくれたお店で、すでにだいぶいい気分になっている先発組を横目に、急いで花火組も飲んで食べた。急いで食べたので美味しい料理もゆっくり味わえなかったけど、よい花火を見る事ができたので贅沢は言えない。

店を出るとホテルに戻る組と飲み足りない組に分かれた。花火組は全員飲み足りない組となり、もう1軒のお店に入る。ここでは福島の酒を飲み比べたが、出てきたお通しが赤魚の煮付けがまるまる1尾だったのでびっくり。


最後は僕一人だけもう1軒、いつも立ち寄るバーにて飲む。最後はさすがに半分眠りながら飲んでいたが、お会計のときに2000円を払うといつも来てくれてありがとう、と500円戻してくれた。こちらこそ感謝。



翌日もボランティア活動を行ったが、午前中で戻る組と終日行う組に分かれた。僕は終日組で、昨日と同じ作業は避けたいなどと思ってのんびりしていたらニーズの調整時間が長くなってしばらくボランティアセンターで待機することになってしまった。

待機時間には沖縄からいわき市に派遣されてきた社会福祉協議会の職員2人による沖縄トークが突然始まり、待機しているボランティアたちの空気を和ませてくれた。

そして作業内容が小名浜いわき海星高校の土砂掻き作業となり、海星高校に向かう。

海星高校は海に面した水産高校で、校舎の1階部分が水没したという。この日も暑い中、自転車置き場付近にたまった砂を土嚢袋に入れる作業を行った。


昼休みに休憩していると、海星高校の生徒さんたちが、じゃんがら念仏踊りの練習を披露してくれるというので中庭に集まった。

じゃんがら念仏踊りは、いわき地方に伝わる伝統行事で、新盆を迎える家を回って死者を供養するものだという。沖縄に伝わるエイサーと起源を同じにするものだという。午前中にボランティアセンターで沖縄の話を聞いたばかりだったので不思議な縁を感じる。

いわきに来るようになってじゃんがらのことを聞き、一度見てみたかったのだが、この日初めて目にすることができた。海星高校の生徒も何名かはこの震災で犠牲になったようで、演じる方も見る方もいろいろな思いがこみ上げてくるだろう。前日の花火といい、今日のじゃんがらといい、貴重なものを見せてもらうことができた。


この日のボランティア活動の後はいつものように湯本温泉に立ち寄り、そこで解散として、2日間に渡るいわき市集合大作戦は無事に終了となった。

また機会があったら集まろうと思う。


小名浜の花火を中心とした2日間の写真はこちら