1964音風景

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今年東京でオリンピックが開かれる、ということで前の東京オリンピックが行われた1964年に作曲された音楽の演奏会に行ってきました。
と言っても特にオリンピックに関係する曲というわけではありませんが、当時の前衛音楽ということで興味を持ちました。
 
企画は片山杜秀さん。
冒頭に片山さんと、今日の1曲目の作品を作った湯浅譲二さんがステージに出てきて自ら解説してくれました。
その1曲目は「ホワイト ノイズによる<プロジェクション エセムプラスティク>」。
テレビやラジオの「砂嵐」の音を分解してまた組み合わせて曲にしたものです。その「楽譜」というものもスライドで見せてくれましたが、いわゆる五線譜ではなく、音の大きさと音程を記したものだそうです。この曲は生演奏というわけではないのですが、適当につまみを回して音を出しているように聴こえるものが実はちゃんと楽譜で指示された音を出しているもの、というのが驚きです。
 
2曲目からはアンサンブル ノマドによる生演奏です。高橋悠治「クロマモルフⅡ」という曲をピアノで演奏していました。
続く曲もピアノでジョン ケージ「ピアノのための電子音楽」。しかしこちらの曲は普通に鍵盤を弾くのではなく、弦の部分を直接叩くなどして演奏していました。
 
4曲目は一柳慧弦楽四重奏曲第1番」。演奏スタイルはヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの普通の弦楽四重奏ですが、これも現代音楽なので素直な演奏ではありませんでした。
 
休憩を挟んで最後の曲がテリー ライリー「インC」。これは11人による演奏ですが、C(ド)の音がタブレット端末からパルス状に流れるのをベースにして、他の楽器も同じように音を出していきます。その音は単純なパターンを繰り返すミニマルミュージックなので、聴いているとだんだんトランス状態になってとても気持ちいいです。この曲も、反復パターンの演奏順は決まっているそうですが、どの楽器で何回繰り返すか、というのは演奏者に委ねられているそうです。
 
どの曲も初めて聴く曲でしたが、まるで現代美術のような演奏でとても面白かったです。

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