水戸室内管弦楽団第100回定期演奏会

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小澤征爾さんが指揮を務め、水戸芸術館の専属楽団である水戸室内管弦楽団の記念すべき第100回の定期演奏会に行ってきました。
水戸室内管弦楽団の演奏会にはそれほど行っているわけではありませんが、それでも過去に5、6回くらいは行っているかと思います。かつてはチケット発売日の朝に水戸芸術館に並んだこともありました。最近はネットで申し込みができるのですが、今回は多分競争率が高かったと思います。7月の水戸芸術館友の会会員向けの先行発売日に申し込んだのですが、S席は申し込み入力をしている間に売り切れてしまい、A席をなんとか手に入れました。
 
記念の回の演奏曲目はベートーベンの交響曲第9番でした。日本では年末によく聴く曲ですが、僕はこれまでちゃんと聞いたことはありませんでした。4楽章のうち、第1と第2楽章はラデク ボバラークさんが指揮、小澤さんは第3と第4楽章の指揮をするという変則的な形です。小澤さんは最近は体調を崩すことも多く、水戸芸術館の演奏会でも急に指揮が交代になったこともあったと記憶しています。
 
開場前の水戸芸術館は気のせいかいつもより華やかな雰囲気でした。今回の僕の席はステージ上手側の席でした。ステージ正面の席の方がいいのはもちろんですが、それほど大きくないホールなのでサイドの席でも十分です。
 
前半のラデク ボバラークさん指揮のパートでは、サイドの席だけあってバイオリンの音が奥から、コントラバスの低音が手前から聴こえてきて若干バランスが悪いですが、久しぶりのオーケストラの生の音に改めて聴き入りました。
 
第2楽章が終わると指揮台には椅子が用意され、指揮者がいよいよ小澤さんに交代です。先ほどまでの指揮のラデクさんはホルンのパートで参加します。
 
やはり小澤さんは通しで指揮をするには体への負担が大きいのでしょう。久しぶりに見る小澤さんは心なしかやつれているように見えます。開場前のロビーには第1回定期演奏会の映像が流れていたのですが、その姿のあまりの若さに驚きました。なにしろそれからもう25年の月日が経っているのですから、それは歳を取るものです。小澤さんは椅子に座りながらの指揮でした。かつての指揮台での力強い指揮姿の記憶があるだけに、若干の寂しさを感じました。
 
後半にはステージ後方に4人のソロ歌手とコーラス隊が入りました。クラシック音楽ではマイクを使いませんが、楽器に負けない豊かな声は、人間の強さを感じることができました。そしておなじみのフレーズが繰り返し聞こえてくると小澤さんが各パートの楽器や合唱団に指示をする姿にもだんだん熱がこもってきます。客席からは楽器を演奏する姿を見るのですが、サイドの席だけに指揮をする小澤さんの姿もよく見えます。正面の席では味わえない醍醐味です。いつまで指揮台の上の小澤さんを見ることができるかわかりませんが、いつ引退してもおかしくないだけに、しっかりと目に焼き付けようと思いました。
 
そしていよいよクライマックス、最後は椅子から立ち上がって渾身の指揮でした。楽団やコーラスの迫力ある演奏とも相まって、思わず涙が溢れ出してしまいました。クラシックの演奏会で涙を流すなんて初めての経験かもしれません。
 
終演後は観客が皆立ち上がっての拍手です。小澤さんをはじめ演奏者がステージから下がっても拍手が鳴り止みません。そのあと3度ほどステージに出てきましたが、僕も約15分もの間拍手し続けました。水戸にこんなにも素晴らしい演奏を聴くことができる機会を作ってくれて本当に感謝です。
 
 
この演奏会の前に芸術館内のショップで第99回の演奏会を録音したCDを買いましたが、今日の演奏会も録音、映像収録をしてました。いずれ発売されるのも楽しみです。