目の見えない白鳥さん、アートを見にいく

あまや座で映画「目の見えない白鳥さん、アートを見にいく」と、上映後の舞台挨拶を見に行ってきました。

この映画の主人公である白鳥さんは水戸市在住の全盲の方ですが、以前、水戸芸術館のワークショップなどでお見かけしたことがあります。

 

映画の元になったのはノンフィクション作家の川内有緒さんの同名の本ですが、川内さんは前に「空をゆく巨人」を読んだことがありました。これはいわき市ゆかりの蔡國強を取り上げた本ですが、蔡國強は僕も水戸芸術館の展示を見たことがあり興味がありました。

そして今度はその水戸芸術館ゆかりのこの本が「2022年Yahoo!ニュース本屋大賞ノンフィクション本大賞」を受賞したことで再び興味を持って本を読んでみました。

その本を読んでいると映画も作ったということでいつか見たいと思っていたところ、あまや座で上映することになったので見に行ったのです。

 

映画は、白鳥さんが川内さんと水戸芸術館に勤めていた佐藤麻衣子さんと三人で茨城県近代美術館の展示を見るシーンから始まります。白鳥さんは全盲ですから直接展示を見ることはできませんが、一緒にいる川内さんと佐藤さんが、どんな作品かの説明というか、感想を白鳥さんに話すということで鑑賞しているのです。白鳥さんもその感想に質問したりして会話を続けます。白鳥さんはそんな会話が楽しくて美術館巡りをしているのだそうです。

 

僕はいつも一人で美術館に行きますが、このようにその場で感想を話すことはありません。言葉にすることでまた違った鑑賞ができるのかもしれません。

 

先ほどのシーンでは、画面がアニメーションになり、一度真っ黒になってから、川内さんや佐藤さんが話すイメージに合わせて絵が描かれます。最初はアサリ、それからセイウチ、猫、富士山とどんどんイメージが変わっていきますが、その過程が白鳥さんの頭の中をのぞいているような気持ちになりました。

 

映画はその後、白鳥さんの水戸での生活、東京都現代美術館新潟県大地の芸術祭での鑑賞、それから福島県猪苗代のはじまりの美術館での白鳥さんの展示と続きます。水戸では「喫茶富・BENZ」や「大衆酒場小粋」などに行ったシーンも登場しました。「小粋」には一度行ったことがありますが、「富・BENZ」には行ったことがありませんでした。今度行ってみたくなりました。

 

上映後は、監督を務めた川内さん、もう一人の監督の三好大輔さん、そして主人公の白鳥健二さんが登壇しました。白鳥さんは映画の中でもよくお酒を飲んでいましたが、今もハイボール缶を片手にしていてお客さんの笑いをとっていました。あまや座支配人の大内さんの司会で川内さんと白鳥さんの出会いのきっかけや撮影時の話などを話してくれました。

 

最後はロビーで川内さんと三好さんにパンフレットにサインをしていただき、その時に三人にも直接お話しさせてもらいました。

 

ちなみにあまや座にはこれまで10回鑑賞したのでスタンプカードがいっぱいになり、今日の上映を無料で見ることができました。

 

 

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